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2月あいさつ

 正月早々の能登大地震は気の毒なことでした。元日の午後4時なんて、よくもそんな時間に‥と思うことで。コロナ禍が明けて久しぶりに帰省した人も多かったでしょうに。都会の災害と田舎の災害の相違をまざまざと感じることでもありました。学者たちを甚く刺激したことでもありましょうが、まずは情報量の違いですね。つまり現場へのアクセス手段の差。TV各局すぐにヘリコプターをチャーターしたのでしょうが遅かったですよね。据え付けのカメラの映像では後世残るような画像は撮れず、津波警報をNHKアナが命令口調で伝えていましたが、その時にはすでにあちこちに大津波が押し寄せていて。あんな田舎町に都会並みの耐震家屋やら道路の整備ができているはずもなく、都会でも寸断されやすい水道電気が無事であるはずもなく。古い木造家屋はひとたまりもなく押し潰されて、道路は飴の様に曲がり波うち、液状化現象とやらで電柱や信号機は半分以上埋まり。同じような田舎町の当地を思うに、水道は隣町から山を下って来る一本の導管に頼るのみ、電気も火力発電所を構えていますがすぐに止まるでしょうしと、全く他人事ではないことでした。どこでいつ起こるやもしれぬ大災害に前もって備えるなんてことは現実問題としてできぬこと、となると発災後の対応こそがマニュアル化されて‥という流れですが、支援物資が、全国自治体公務員による人的支援が、有志ボランティアたちが続々と差し向けられる、メディアは義捐金を募るといった一連の光景は見慣れたものになってます。仮に予知能力が向上して(今のようにここ30年内に大地震の起こる確率といった曖昧ではなく)もっと正確になったとしても、前もって転居しますなんてことにはきっとなりません。大津波には逃げるしかないと誰もが分かっていてもです。来たら逃げる。ダメなら仕方ない。そう思ってそこに住み続ける人が大半でしょう、年寄りになればなるほどに。ならば防災って何?です。雨には降られるのみ、風には吹かれるのみ。この諦観ですね。

今月もよろしくお付き合いください。

2024 2.1              弘田直樹

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