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5月のご挨拶

薫風。この言葉は、というかこの字面、漢字の記号としての佇まいが好きでなのですが、サァと顔を風が撫でていく感覚を惹起します。薫風かおる、なんて重複させてしまうのも常です、馬から落ちて落馬した、頭痛が痛いの類。でも、気持ちええなぁの時期は短いのです、すぐに暑くなります。陽射しは日に日に強くなります、初夏のさわやかさは貴重なのですと、毎年思いしかし毎年見逃しそのまま夏に突っ込みます。もともとアウトドアが苦手な方で、だからなのではあるのですが、コートが要らなくなる頃、半袖のポロシャツでよくなる頃、素足にデッキシューズで出歩ける頃という感じ方です、どこそこの何とかいう花が咲く頃とか(桜も観に行きませんから。昔から花見ってのがどうも苦手で)、あの島の回りにカモメが群れる頃とか、どこそこで何とかの魚が釣れ始める頃とか、そういう季節感がないのです。行かないのですから見もしません、知るはずもないことです。子が小さい頃には女房に連れられてあちこちに行ったはずなのですが覚えてません、私が思っているほど出かけてないのでしょうきっと。仕事にかまけて逃げてましたから。だから子たちも私にはそういう要求はしなかったですね、言っても無駄だと知っていたのでしょう。この歳になっていきなり趣味が変わる、いきなりアウトドア派になるはずもないことですが、しかし人生もっと楽しむ手立てがあるんじゃないかと思うようにはなりましたね。好きなことばかりじゃもったいないというか、食わず嫌いでいるだけで、やってみれば面白く思うことってきっとあるんじゃろうなと。それもこれも残り時間は思っているほど長くはないぞとじんわりと且つ確実に湧きあがり心を塗りこめることが多くなってきたからではありましょう。目の前の出来事を、いつものようにそこにある山を海を風を木々をいとおしく思うのはあながち下向きな気分ではないことです。人並みに歳をとってきました。

2015 5.1????? 弘田直樹

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