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4月のごあいさつ

今冬は暖冬と括れるようで、でもそれはここ十年二十年の傾向でもあって今更にという感覚ではあります。昔話は作り話とよく言い、温暖の当地でも小学生中学生時分には薄氷を踏みながら登校する日が何日かあったよなと思い出すわけですが、どう贔屓目(ひいきめ)に言うても雪は珍しい地ではあります。そう言えば今冬は雪降らなかったなぁと暢気に思うことです。

年度替わり時期です、今年はなぜか役に就いたり降りたりがいつもより多く季節感を味わうことです。新しい役をもらうと気合が入りますし、この役でしかできぬことをきちんとやろうと決意するのですが、そういう思いが続く、実行に移せるのは当初の一年間くらいのものだと今までの経験から知ってます。あれもやろう、これもやりたいは残念ながら続きません。それはこの役に慣れてくるのと同期します。そしてやがて定期の仕事dutyをやっつけるだけになる。よほどの必要に迫られぬ限り慣例を動かしません。だから新しいことできるのは最初のうちだけなのだと心構えすることですが、こんどはその対象が見つからなかったりして。そして長年担ってきた役を降りるときの寂しさです。肩の荷がおりるのは確かなのですが降ろした後のこの軽さが妙に気になってしまって、勝手なことです。面倒なことでもやることのある有難さです。今日はこれ、明日はあれと時間割に従うは、上記のごとくやっつけ仕事に流れはしますが、それなりの効用はあるわけです。年を重ねて熟練の域に達した頃には追いやられる立場に置かれるこの悲しさですが、父も祖父も通ってきた道です。この世の常です。粛々と従うのみですが、それとも全く新しい分野に向かうエネルギーが、おありですかご同輩。

今月もよろしくお付き合いください。

2019.4.1??? 弘田直樹

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