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9月のごあいさつ

何とも暑い夏でした。立秋を過ぎればあとは残暑だと、それは字句上の建前であり且つ文化でもあるのですが、言葉はむなしいこと。暦の上の四立(立春立夏等)が現代の体感にそぐわぬことをあれこれ言うてもそれこそ昔からのしきたり、先人はこうやって季節を数えて来たのであって今を生きる我々その違いを愛でればいいのでしょうが、とてもそんな気にさせない酷暑。天気予報による解説は年々詳細になり、暑さ寒さの理由、豪雨の理由、台風の多さの理由などなど知識は増えるのです。が、暑さそのものに対しては、気をつけろ、ためらわずにクーラーつけろ、のどが渇く前に水を飲めといった対策止まりで、暑さを和らげることはできない。風鈴の、葦簀の、打ち水の、行水の、蚊遣香と団扇と縁台のと先人の知恵を小馬鹿にしながら今更のように話題に上げて、しかし具体的には屋内の気温を下げるのみ、クーラーが街中で唸れば外気温はさらに上がっていく必然です。何故?地球温暖化なる曖昧に放り込むだけ。本当に二酸化炭素の所為なんですか?そこで皆思考停止してる。「自然の怖さ」と括って停まっている(災害時は常にこうです)。自然を支配しようとしてしっぺ返しを食っているとか、地球は人間だけのものじゃないとか、今更何言うてるの?の非難もいつも聞えてます。おそらく日本は私達が学校で習ったような温帯モンスーン気候帯から外れて台湾やフィリピンのような亜熱帯気候に移っているのでしょう。いや、まだ四季の移ろいはきちんと感じられますから、より正確には亜・亜熱帯というところでしょうが、春秋のなくならぬことを願い(私の生きているうちはたぶん大丈夫でしょうけれど)、40℃以上の気温日を命名するほど頻繁にならぬことを願い(猛暑日の上は酷暑日ですか)、残暑の風情は我々の世代だけでも残していきたいと思うことです。

今月もよろしくお付き合いください。

2018年9月1日    弘田直樹

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