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■ 我が愛しのビートルズ ?その5?

当時のビートルズのコンサート映像を見て驚くことは、何と言ってもビートルズマニアの熱狂ぶり、耳も天をもつんざく悲鳴、嬌声、大歓声ですが、今までこの 欄で何度も触れていますように、当時のステージ環境にも同じくらいびっくりします。ビートルズほどのトップバンドですから、当時の最高の機材が使用されて いるに違いないのです。にもかかわらず、今と比べれば文字通り隔世の感、私達のような田舎のバンドでももっと使うよ、という差なのです。それがどうしたの よ、40年前と今とを比べる方が無理があるでしょうに、という声が聞こえてきそうですが、確かにそう言われれば身も蓋もないことなのですが、しかしこれは 結構意味深いことなのです。 端的に言えば、彼らは自分たちの声やギターの音が十分に聞こえない状態で、あれだけの演奏をしていたのでは?という推測なのです。 今のコンサートでは自分の出している音や他の人の声や楽器の音を聞きながら演奏するような環境が整っています、ヘッドフォンしたりイヤホン付けて演奏して いる場面をよく見るでしょう。そして、プレイヤーの足下に、プレイヤーに向けて置いてあるスピーカー。あれも自分たちの音を聞くためのものです、モニター スピーカーといいますが、そういう環境が全く備わっていないのです。電源入れてないオルガンを弾いている場面を想像してもらえればいいです。恐ろしいで しょう?でも、音は出ているのですよ、すごいボリュームで。だから会場にマイクを立てればちゃんと鳴っているのです、海賊版や公式盤で聞くように。ただ周 りの騒音のせいで本人達にうまく届かなかったのではないかと思われるわけです。びっくりするのが、’64.2 のワシントン公演のシーンです 1.。ステージの四方から観客が見ているという環境(大相撲の土俵の如く)で、彼らは何曲か唄うと四辺を巡るのです。ドラムは中央で回り舞台の上に載って 回転するのですが、アンプはそうはいきません、正面を向いたままです。おまけに、マイクも3本しかなく、彼らがそれを持って移動するという始末。ですか ら、四辺を回るうちには、ギターの音が後ろ向きに出ている場面もあるわけです。おまけにモニタースピーカーがない。音は自分に向かずに出ているわ、周りに は耳が割れんばかりの悲鳴や歓声が満ち満ちているわの状況で、彼らはギターを弾き、ハモるのです。 私達が不要のモニターを使用すると、これに似た状況に陥ります(過剰に返りすぎて聞きたい音が聞こえなくなります)。いきがって使うとボロボロになりま す。それがビートルズほどのタフな、足腰の強いバンドにかかると、あの状況であれだけの演奏ができるということなのです。すごいでしょう?それとも、ちゃ んと聞こえていたのでしょうか?そうだったら、ごめんなさい。

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